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第2章 光と影の間で 第8話

Auteur: 花宮守
last update Date de publication: 2025-03-16 00:00:40

 私の方も、影野さんに聞きたいことがある。昨日は手ぶらだったのが、今日は水筒に、二人分のコップまで用意して。

「ああ、これですか。今日は楽しい遠足になりそうな予感がしたもので」

 乾杯でもするようにコップを掲げる仕草が、かわいいなと思った。

 記憶がなくても、優しい人たちと心を通わせることはできる。毎日、教えられている。

 風がそよぐ。木陰でじっとしていると、少し涼しい。バッグからスカーフを出して肩にかけた。

「綺麗だ」

「ありがとうございます。ここの柄が特に好きで」

 胸の前で軽く結んだ先を示すと、彼はフッと笑みを浮かべた。

「もちろん、そのスカーフもね。……この辺りは、古くから知られている別荘地なんですよ。上の方は、私有地ですけどね」

 さり気なく話題を変える。もしかして「綺麗」って、私に言ってくれたのかな。変な反応をしたから、呆れてる? 「私のこと?」と聞くのもおかしいし……彼の方こそ、爽やかな木の香りに包まれてゆったりと寛ぐ様子は、お忍びの王子様のようで絵になる。胸元に視線を導いてし
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